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クリスマスの夢

雑記

「他人の夢の話ほどつまらないものはない」というのは世間でさんざ言い古されたクリシェですが、僕にはよく理解できません。他人の夢の話はとても面白いと思います。その人の性格や人となりを知っていれば、夢の解釈を試みたり、いろいろ考えをめぐらせてみたりすることができますし、まだよく知らない人だったら、その人の新しい一面を発見できたりもします。夢の話には夢の話に独特の味わいがあると思います。

 で、僕もここ数日よく夢を見ます。
 2,3日前には、いかにもクリスマスらしい夢を見ました。

 僕は小さな陶製の聖母子像を持っています。
 僕は平均的な日本式仏教徒です。聖母子像は誰かの形見とか、信仰の証とか、そういったものではありません。エスニック雑貨を売っている店で買った、ただのお土産品です。
 大きさは2センチそこそこ。鮮やかな黄色や藍色の彩色がほどこされていて、中南米かイベリアあたりのカトリック圏で作られたもののようです。

 年末とあって、その日は我が家で集まりがありました。親戚やら同僚やら、見知った人々が集まって、がやがやと行き来しています。部屋にはものが多く、どんどん散らかってきます。
 何かの拍子で、僕の聖母子を誰かが落としました。誰かがそれを踏んでしまい、さらに何かがぶつかります。焼成温度の低い、脆い陶器は、それでぽくりと折れ、細かく砕けてしまいました。

 数ミリしかないかけらを僕は拾い集めます。米粒やらチリやらと混じりあった破片を、僕は集めて、なんとか継ぎ合わせようとします。
 僕がそんなことをしているのに気づいたのは、彼女だけでした。
「なにやってるの。いいでしょ、そんなの」
 と、彼女は言います。

 僕は本当は聖母子像など持っていません。