大金星やー。

大金星 (アフタヌーンKC)

大金星 (アフタヌーンKC)

 黒田硫黄の第3短編集が出ました。いやー、面白い。いろんな出来事や人間たちが、ずれながら、混乱しながら、いい加減にかみ合いながら、ごちゃごちゃになって行き違いながら、身も蓋も無く、それでも深い情趣を伴ったひと塊の物語としてぐいぐいと進んでゆくこの潔い感覚は、他の誰の作品にも見出し難いものです。世間であまり評判のよくないらしい「ミシ」も、精神的に疲弊しているときの妄想みたいで楽しかったし、「居酒屋武装条例」の痛快な猥雑さも良かった。
 それにしても、黒田氏の描く女の子たち(大抵は脚が太い)の、なんと豪快でキュートなことか。彼女たちの前では、そこらのあほらしい萌えキャラなんてもう、烈日のもとの秋霜みたく吹っ飛んじまうんだから。