千年紀末に降る雪は


 そうこうするうちにキリンジと出会ったのだが、いつのことだったか。たぶんセカンドアルバム「47'45"」が出てからサードアルバム「3」が出るまでの間、99年か2000年のことだろう。ヴィレッジ・ヴァンガードでバイトしながら、個人的には鬱々としていたころだ。
 いや、もっと前にレンタルで借りた気もするな。古い手帳を見れば分かるだろうが、引っ張り出すのも面倒だ。どっちでもいいや。
 いわゆる「渋谷系」とは違った文脈の音楽だということに気づいたのはしばらく経ってからだ。「分かり合えやしないってことだけを分かり合うのさ」と歌ったFGと違って、ポストモダンの「意味無し」なんてとっくに前提とした上で、確信を持った大人として自分たちの音楽を制作しているこの兄弟は、僕とほぼ同世代だった。 

どこかで不揃いな 遠吠え
仮面のようなスポーツカーが 火を吐いた

笑っておくれ ダーリン ほら素晴らしい夜に
僕の短所をジョークにしても眉をひそめないで
キリンジ「エイリアンズ」)