暗闇に目を凝らせ

 
「なにもかも全て、無意味なの。この世界には意味なんて無いの。それはペシミズムでもなんでもない、当たり前のことなのよ。だからそれを受け入れて生きるほかない。意味のあるものなんて何一つないんだ、って心の底から納得できたときに、まるで暗闇で目を凝らした時にかすかに見えてくる小さな灯火みたいなものが、冷え切った心の底の底で、自分を温めていることに気づくの。つまりそれが、生きているっていうことなのね」
「はあ、そうですか……」
「だから意味が無いなんて言わないで、オーガニックアロマフェイシャルエステ体験コース、今週は30%オフよ。ほらそこのビルの二階。どうかしら?」
「結構です」とわたしは言った。

※「わたし日記」はフィクションです。僕はわたしではありません。