グッバイ・レーニン

 『Goodbye,Lenin』という映画を見ました。ドイツの映画です。
 面白かったよー。くわしいストーリーはネタバレになってしまうので書けませんが、こんな話。
 舞台は、1989年の東ドイツ。主人公の青年のお母さんは、社会主義建設のために貢献し、東ドイツ政府から表彰までされた活動家だったが、心臓発作のために昏睡状態に陥ってしまいます。8ヵ月後にお母さんが眼を覚ましたとき、ベルリンの壁は既に無く、社会主義国家は崩壊、東西ドイツは統一直前になっていました。強いショックを受ければ命にかかわると診断されたお母さんのために、主人公の青年は、東ドイツの崩壊を隠し通そうと必死で大芝居を打つんです。
 コメディなのですが、随分考えさせられる映画でした。1989年、僕らは東ドイツ国家の滅亡を、民主主義の勝利、民族悲願の再統一として歓迎しました。しかし、当の東ドイツの人々にとって、一つの国家の消滅と、それに伴う急激な社会の変化は、大きな衝撃やストレスでもあったわけですね。あっという間に市場から姿を消した東側産の食品を探し回る青年の姿や、たんすの奥に仕舞ってあったヘソクリの3万東ドイツマルクが紙くずになってしまったエピソードに、それを感じました。あと、空を飛んでゆくレーニン像の姿も印象的だったな。
 面白いことに、東ドイツの風俗や雑貨類、自動車のデザインなんかが、今の僕らの眼にはとてもお洒落で可愛らしく見えてしまいます。今のドイツにはかつての東を懐かしむ人も多いそうですが、なんとなく分かるような気もします。自由が無いのが良いとは思わないけど、東ドイツくらいの国だったら住んでもいいかなあ、と、ちょっと思ってしまいました。
 

グッバイ、レーニン! [DVD]

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