温泉街のエトランジェ

 マインツから郊外電車に乗り、ライン川を越えて十数分、ヘッセン州の州都ヴィースバーデンの中央駅に着きます。


 日本ではあまり知られていませんが、「バーデン」の名が示すように、ここは温泉保養地。皇族貴族ブルジョワの社交場だっただけあって、そこそこの規模の都市にもかかわらず、ごみごみした感じが全くしない、ゆったりと懐の広い感じのする明るい街です。中世の名残はあまり感じられず、古いホテルやクアハウスなど、街に漂うのは19世紀、ビスマルクやルートヴィヒ狂王や森鴎外の時代の気配。


 この街に来た目的は、ドイツ式の温泉を体験することです。
クラシックな温泉に入りたいというので、カイザーフリードリヒテルメを選びました。


”旅の空は遥か 列車を降りたなら そこは湯の町 硫黄の香りが鼻を突くよ 湯畑を渡れば余所の国”
 男女混浴・水着着用禁止という、いささか高めのハードルはありますが、タイル貼りの古風な内装を楽しみつつリラクゼーションできる、なかなか結構な温泉でしたよ。内部の写真はもちろん撮れないので、サイトのリンクを貼っときます(ドイツ語)。
http://www.wiesbaden.de/sport/baeder/kft/bildergalerie.php
(↓源泉です。鉄くさくて、飲泉としてはちょっとどうか)

 さて、湯上がりにぶらぶら歩いてると、通りは短い夏を楽しむ人々でにぎわっています。そして、教会前の広場で行われているワイン祭りに偶然遭遇。こんなのやってるなんて知らなかった。
 ライン河屈曲部の北岸、ラインガウと呼ばれるこの地方は、ドイツでも有数のワイン産地なのです。ワイン祭りではいろんな蔵元が店を出していて、テイスティングをさせてもらった上で、安い値段でワインを楽しめるのでした。

 欧州の夏の夜はいつまでも明るいのです。



(↑ヴィースバーデン中央駅全景)