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この夏のイベント(その2)

 8月23日と24日、ならまちの世界遺産元興寺で、今年も恒例の地蔵会(じぞうえ)が行われました。いわゆる「地蔵盆」の行事です。
 地蔵盆、関西や北陸以外の人にはあまり馴染みがないかもしれません。8月(旧暦だと7月)24日前後に、京都を中心とした文化圏で広く行われている昔からの行事です。この時期、関西や北陸各地の古い町では、町内の人々がお地蔵さんの祠に集まり、灯を点したり、子どもたちにお菓子を振舞ったりします。
 奈良の旧市街では、この元興寺の地蔵会が有名で、多くの人々があつまります。



 24日のお昼には、奈良のいろいろな飲食店が出張屋台を出店する「地蔵盆まんぷく供養」がありました。
 夕方になると屋台は閉店し、お坊さんたちによる法要が営まれます。真言律宗のお寺なので、梵語のダラニやマントラが唱えられ、はるかインドやチベットとのつながりを感じさせます。

 法要の後は、石仏や石塔が並ぶ境内の浮図田(ふとでん)での万燈供養。僕が行った日は風が強く、すぐに火が消えてしまうので、スタッフのみなさんが一生懸命火を点けて回ってらっしゃいました。




 それぞれの願いや思いが墨書された素焼きの灯明皿に、炎がゆらめきます。そして夏が終わることを知るのです。

 わらべ歌の奉納や、尺八や琴の演奏もあります。涼しい秋の風。

 毎年お邪魔しているのですが、世界遺産の境内で、このような庶民的な情緒溢れる行事が行われていることが何より素晴らしい。元興寺は中世以来、地域の人々の信仰を集めてきたお寺です。境内の収蔵庫には、それを物語る文化財や膨大な民俗史料が保存・展示されています。皇室や藤原氏の庇護のもとで存続してきた東大寺興福寺のような華々しい大寺とは、また違った価値があります。

 今年は終わってしまいましたが、来年はどうぞ行ってみて下さい。