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奈良基督教会の前にて




 世界文化遺産興福寺の境内に接して、木造の小さな教会があります。奈良基督教会です。イギリス国教会の系統に属するプロテスタントの教会で、毎年クリスマスイブにはここから聖歌隊が街へくりだしてキャロルを歌います。クリスチャンならずとも、そういうのを聞くのはなかなかいいものです。
 礼拝堂は昭和のはじめに建てられた純和風の木造建築で、有形文化財として登録されている貴重なものです。日本建築の教会というのは、国内にも数えるほどしかないそうです。
 僕たち日本人は、キリスト教と聞くとつい「欧米の宗教」と思ってしまうのですが、本場(?)のクリスチャンの方に聞いてみると、そういう考え方は、「文化と宗教を混同している」ことになるんだそうです。「神の教えは欧米人のためだけのものではありませんから」ということだそうで、なるほど、そりゃあそうでしょうね。もし、欧米人だけをひいきするような神様なら、日本人が信じなきゃなんない義理は無いわけで。
 そう思うと、日本人キリスト教徒が伝統的な感性に基づいて和風の教会を建てることは、なにも不自然じゃないということになるでしょう。
 奈良基督教会が和風建築として建てられたのは、神社仏閣の多い奈良公園の伝統的な景観を守るためだったようですが、仏教文化の強い奈良の街だからこそ、日本の風土に根付いた教会堂が生まれたというのは、実に興味深いことです。