ジョン・アーヴィングのインド小説

サーカスの息子〈上〉 (新潮文庫)

サーカスの息子〈上〉 (新潮文庫)

サーカスの息子〈下〉 (新潮文庫)

サーカスの息子〈下〉 (新潮文庫)

 なぜかインド人を主人公に、インドを舞台に書かれたジョン・アーヴィングの長編「サーカスの息子」を読みました。文庫になってたから。
 性と暴力と愛と意外な展開とが、これでもかこれでもかと繰り出される相変わらずのアーヴィング世界でしたが、年齢とともに枯れてきたのか、「ガープの世界」や「ホテル・ニューハンプシャー」の頃の、切れば血と水が噴出すような鮮烈さは薄れてしまっているような気もしました。それでもやはり名人芸。あざといほどの技巧を凝らしたストーリーテリングでぐいぐいと読ませてくれます。
 読後に残ったのは、「インドすごいなー」という感想でした。