せっかく梅田に出たので

 紀伊国屋に行って、本を購入。これです。
 

青空感傷ツアー (河出文庫)

青空感傷ツアー (河出文庫)

 柴崎友香さんの本を読んだのは、「きょうのできごと」につづいて二冊目。この人の小説の好きなところは、なんといっても、登場人物が魅力的なことと、自然で現代的な関西弁の会話ですね。
 この「青空感傷ツアー」のばあいは、死ぬほど美人で気の強い女王様タイプの音生(ねお)に人気が集まっているようですが、僕としては、ちょっとダメ子ちゃんな感じで容姿も「よく言って人並み」の主人公・芽衣も可愛いなと思いました。面食いなところはちょっとムカつくけど。(だいたい、柴崎さんの小説に出てくる女の子には面食いの傾向があるような気がします。世間の女の子たちの一般的傾向でもあるんだろうけど、作者の性格かなという気もする)
 柴崎さんの書く会話は、関西弁が本来持っているやわらかさや、現代的なテンポをちゃんと自然に引き出して、生かしています。関西出身の作家でも、こんなふうにナチュラルに、闊達に関西弁の会話を書いて下さる人はあまり多くないので、関西弁のネイティブ・スピーカーとしてはうれしいことです。(関西弁に対する、東京発のマスコミ的に手垢の付いたステレオタイプには、正直に言って少々うんざりしていますから)
 内容は、失恋したばかりの美人の友達(音生)に引っ張りまわされて、OLをやめたばかりの主人公(芽衣)があちこち一緒に旅行する(トルコ、四国、沖縄…)という話で、コメディタッチのストーリーなんですが、「なんでそうなるねん」とツッコミたくなるめまぐるしい展開に、なんとなくカフカ的にシュールな感じもしちゃったのは僕だけでしょうか。とにかく、ロードムービー系というか、どんどん舞台の変っていく話って、僕は好きです。