能動的作業装置

 昨日(9月30日)、大阪国際美術館でやっている、中・東欧現代美術展「転換期の作法」に行って来ました。ポーランドチェコスロバキアハンガリーの同時代の作品が出展されています。
 さほど期待してなかったんだけど、これがめちゃくちゃ面白かった。
http://www.nmao.go.jp/japanese/b3popup/work_positioning.html
 どれもそれぞれ面白かったんですが、ラクネル・アンタル(ハンガリー)が気に入りました。受動的作業装置シリーズというのが面白い。たとえばこれ。
 http://www.artpool.hu/lehetetlen/real-kiall/nevek/laknera.html
 これは何かというと、一輪車で物を運んでいる状態を体感し、身体を動かす器具と、壁のペンキ塗りの動作で身体を動かす器具。まあ、フィットネス器具みたいなものなんだけど、要するに、肉体労働の作業から目的を取り去って、動作だけをさせるんですね。他にも、携帯電話の形をしているけど実はめちゃくちゃ重くて腕を鍛えられる器具とか、マウスのように見えて実は机の下にダンベルがぶら下がってるやつとかもありました。美術館では来館者が実際に使って体験できるのがうれしいです。これらがいかにも実用的な工業製品のようなデザインで作られていて、いかにもメーカーが作ったようなポスターまで貼ってある。商業主義への皮肉な視線が感じられるところが、やはり東欧なのかなと思いました。

 あと、これもハンガリーの、セープファルヴィ・アーグネシュとネメシュ・チャバによる、ストーリーボード、というスタイルの作品も面白かったです。これは、短いセリフやアフォリズム風のコメントなどが付いた小さな絵を何十点も並べたもので、ちょうど映画の絵コンテのような感じで、おぼろげながらひとつのストーリーのようなものを読み取ることが出来るという形式。セープファルヴィ(女性みたい)のメランコリックな絵がとてもよかったです。

 ところで、ラクネルにしても、セープファルヴィにしても、ハンガリー人の名前は、日本人と同じで苗字が先なんですね。ラクネルが苗字で、アンタルが名前。セープファルヴィが苗字で、アーグネシュが名前なのだそうです。英文ではしばしばAntal LaknerやAgnes Szepfalviとなっているようですが。

 全体の感想としては、やはり東欧も紛れも無くヨーロッパなんだな、ということ。レベル高い感じがしました。